『無私の日本人』 ≪Book Review おススメの1冊≫


無私の日本人

 

『無私の日本人』(文春文庫、磯田道史:著)

『武士の家計簿』の著者が描く、江戸時代の人物評伝3篇がおさめられています。それぞれ、清貧な日本人が描かれていますが、一番長編で冒頭の作品、「穀田屋十三郎」は、思いっきり泣けました。(もちろん、他の2篇も泣けましたが、涙の量と回数が違いました。)

ある日、著者のもとに、宮城県黒川郡大和町吉岡に住む方から手紙が届きました。その内容は、「江戸中期にあった、涙なくしては語れない、9人の篤志家たちの物語が、自分の住む町に伝わっている」というものでした。手紙に心を打たれた著者は、その人物たちと行動に関する資料を探し始めます。

仙台藩の吉岡宿。年貢にプラスして、宿場街ゆえの人馬徴発というダブルパンチでした。このままでは、この宿場町は疲弊していく。実際に住民、家数は減り続けていて、いつか誰もいなくなってしまう。何とかしなくては、と立ち上がった町民たちの奇想天外な計画。それを実現するためには、一家の財産を投げ出してでも吉岡宿の再生という、「公を優先」する「無私」の精神。天晴れ!

詳細は読んでのお楽しみとして、これは本当にあった実話です。読んでいただけると、確実に泣けます。そして、清々しい気持ちに包まれます。

*『殿、利息でござる!』という題名で、映画化もされます。読んでから観てはいかがでしょう。

 


無私の日本人 (文春文庫)