皮膚科医が語るスキンケアの基本

ヘアカラー剤によるかぶれ [前編]


ヘアカラー剤によるかぶれ [前編]

 
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 おしゃれ染め、白髪染めはたくさんあります。

 

最近では老若男女問わず、おしゃれ染めや白髪染めをしている人が増え、むしろ今まで一度も髪を染めたことのない人の方が少ないかもしれません。おしゃれという目的ではもちろんですが、鏡で白髪を見つけては一本ずつ引っこ抜き、それでも間に合わなくなると、ドラッグストアか美容室へ駆け込む・・・なんてこともあるかと思います。

そこで気をつけなければならないのが、毛染め剤による接触性皮膚炎、いわゆる「かぶれ」です。今回は、かぶれの中でも比較的頻度が高く、誰にでも起こりうる「毛染めによるかぶれ」についてお話ししたいと思います。

今までにご自分で、または、美容室でヘアカラーをした後に、頭皮が痒くなったりピリピリしたり赤くなったりしたことはありませんか? このような症状があった人は、毛染めによるかぶれを起こしていたかもしれません。

かぶれには、原因物質に接触した時の刺激で起こる、「一次刺激性」のかぶれと、アレルギー反応が原因でおこる「アレルギー性」のかぶれがあります。なかでも特に気をつけなければならないのが、アレルギー性のかぶれです。

アレルギー性のかぶれでは、抗原となる物質(かぶれの原因物質)に、一度ないし何度か接触するうちに、免疫細胞が“これを追い払うべきだ”と認識し(これを感作といいます)、

これにより免疫が過剰に反応を起こします。その結果、炎症細胞が皮膚を攻撃することによって、皮膚炎を起こします。そして、一度感作されると、それから先は永遠にその原因物質に接触するたびに炎症を繰り返します。

毛染め剤は、こうしたアレルギー性のかぶれをしばしば起こします。症状としては、毛染めをしてから半日から2日後くらいに、頭皮の痒みや赤みなどの症状が出て、ひどい時にはジクジクしたり、瞼や顔全体がパンパンに腫れて目が開かなくなったりします。

このような患者さんが受診され、毛染めの既往と経過から、毛染めによるかぶれの可能性を指摘すると、ほとんどの患者さんは、「今まで何度使っても何ともなかった!」とおっしゃいます。しかし、前述の通り、アレルギー性のかぶれでは、まず感作が成立しないと起こりません。感作が成立するまでに、時間や回数がかかるため、同じ製品を何度も使用して何事もなかったとしても、突然発症することが多いのです。

また、一度かぶれても、すぐ治ったからといって、また使用すると、さらにひどい症状で発症する危険性があります。かぶれが治ってしまうと、痒くてつらかったことは忘れ、毛染めしたい気持ちが勝り、今回は大丈夫じゃないか、もう大丈夫じゃないか・・・とまたやってしまう方もいます。その結果、目が開けられないほどに、顔が真っ赤に腫れあがり、毛染め剤が接触していない体にまで、皮疹が拡大してしまったという患者さんも、実際のところ少なくありません。

ひどい炎症を起こすと、治っても色素沈着が残ります。せっかく「美しくありたい」と思ってやったことが、マイナス効果、悲しい結果に終わってしまうわけです。そして、最悪の場合はアナフィラキシー(急性ショック状態)を引き起こすこともあります。

このようなことは、原因物質にかかわらずアレルギー性のかぶれでは、同様に起こりうることです。特に毛染め剤は、毛染めしたいという欲求に負けやすいことや、簡単に使用できるという点から注意が必要です。

 

次回、ヘアカラー剤によるかぶれ[後編]では、毛染め剤に含まれる、どの成分が要注意か、またアレルギー症状が出てしまった際の対処方法について書かせていただきます。

 

かみいた南クリニック

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