糖質制限は体にいい

第8回 糖質制限食の歴史と日本の現状


第8回 糖質制限食の歴史と日本の現状

これまで、このコラムで紹介してきたように、糖質の過剰摂取にはさまざまな問題があります。そこで、そうした食生活を見直そうと考えたのが、ロバート・アトキンス博士とリチャード・バーンスタイン博士という、ふたりのアメリカ人医師でした。

両医師は1970年代初頭に著書を刊行し、それぞれの「糖質制限食」の方法論を発表しました。アトキンス博士は、心臓外科医という立場から、アメリカ人の死因1位である心疾患をなんとか減らそうとしての研究だったことがうかがえます。バーンスタイン博士は、自身の1型糖尿病への対策がベースでした。

これらの著書は世界中でベストセラーとなり、医学界にも大きなインパクトをもたらしました。ところが日本への波及は、やっと2000年代に入ってからで、釜池豊秋医師と江部康二医師らの手によって、少しずつ広まりを見せていきました。そして、実践した方たちからの劇的な改善例が報告されていったのです。

こうして、糖質制限食は世界中で支持されてきました。世界で最も進んでいるとされる“糖質制限大国”のスウェーデンでは、国民の23%が実践しているといいます。その他、多くの国の医師も支持していますし、欧米の糖尿病学会では治療法の一選択肢として導入されています。

しかし現在のところ、わが国での糖質制限食は、まだ宙ぶらりんな状況です。日本糖尿病学会もいったん認可したものの、後になって撤回した過去があり、その混乱はもうしばらく続くかもしれません。とはいえ、欧米諸国がすでに正式採用しており、世界で最も権威のある医学雑誌に肯定的な論文が掲載されたりしている状況から見て、日本でも早晩推奨されるものと思われます。

糖尿病や肥満が世界中で増加の一途をたどる今、糖質制限食はその状況を打破する手段として、ベストなのではないかと私は考えています。ただし、わが国では前述のような現状でもあるため、糖尿病のある方が実践する際には、必ず主治医と相談されることをおすすめします。

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