肉・卵・チーズの「MEC食」で日々を健康に!

第5回 「沖縄クライシス」から見えたもの


私が、旧来の栄養指導(いわゆるカロリー制限食)に疑問をもち始めたのと同じ頃、沖縄県の医療関係者に激震が走る出来事がありました。都道府県別平均寿命で常に上位にあり、男女とも日本一に君臨したこともある沖縄が、いきなり26位(※2000年/男性)に落ちてしまったのです。

 

前年は5位でしたから、明らかな急落です。それまで「長寿の島」といわれ、世界中の医療界にも知られた沖縄の健康神話が、崩れ去った瞬間でした。

 

「沖縄クライシス」や「26ショック」と名づけられたこの出来事は、県内の医療関係者を慌てさせました。テレビや新聞に何度も取り上げられ、県の関係部署も対応に乗り出しました。しかし、それから現在までずっと、男性は30位前後にとどまったままです。

 

その原因といわれているのが、「食の欧米化」です。この言葉から連想されるのは、ハンバーガーやステーキやポテトフライといったところでしょうか。いずれにせよ、「食の欧米化」とは、戦後の統治下に米国式の食生活が輸入され、沖縄県民もそれに倣ったとする説ですが、私はまったくうなずけません。なぜなら、沖縄県民の食肉消費量は、全国でも最低レベルだからです。

 

総務省統計局のデータをご覧ください。これは都道府県庁所在地に政令指定都市を加えた51都市の家計調査で、「何をどれだけ食べたか」が浮き彫りになるデータです。上段のリストにある「肉類」をクリックするとExcelファイルが開くので、ご覧になってみてください。いちばん左の「肉類」だけを見ても、那覇市は51都市中46位と低迷しているのです。

 

http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm

 

昔の沖縄は、こうではありませんでした。琉球時代から養豚が盛んで、それぞれの家庭でも豚が飼われており、「鳴き声以外は全部食べる」といわれていました。それほど豚が身近な存在である一方、県内にはほとんど田んぼがなく、米の収穫はごくわずかでした。

 

ところが終戦後、県民の食生活は激変しました。ご飯たっぷり、野菜たっぷり、肉は少々……という食事です。これを続けたせいで、沖縄の都道府県別平均寿命は著しく下がってしまったのです。つまり沖縄県民は「食の欧米化」ではなく、「食の本土化」によって肥満率を上げると同時に、平均寿命を下げてしまったのです。

 

この事実は、2015年の日本糖尿病学会でも発表されました。私から見れば「やっと」のことですが、沖縄の「食の欧米化」というのは、単なる誤解だったのです(参考記事⇒http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/flash/jds2015/201505/542224.html)。

 

沖縄県民の栄養不足については、クリニックを受診される患者さんたちを見ていて、よく分かっていました。顔色が悪く、体が弱く、声も小さいような方に「いつも、どんなものを食べていますか?」と尋ねてみると、ソバ(日本ソバではなく、うどんに似た沖縄ソバ)だけとかソーメンだけとか、栄養に乏しい食事をされている方ばかりでした。

 

では、どんなものを食べるべきなのか?

 

私は、その答えを探し始めることにしました。

 

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