お金にまつわるエトセトラ

第6回「相続」裁判②「特別受益」


 第6回「相続」裁判で争われること - ②「特別受益」

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裁判で争われること - ②特別受益

 

特別受益とは

被相続人の生前中に、相続人の一部が特別に何かをもらっているとき、いわゆる生前贈与されているときなどは、その相続人が財産の前渡しを受けたこととして取り扱われます。

この特別受益の持ち戻しと言われる制度は、その贈与の価額を相続財産に加算して相続分を計算しますので、この辺について争うと相続人全員の相続税が上がることになります。

 

特別受益者になるのは、法律的に言うと、被相続人から①遺贈、②婚姻、養子縁組のための贈与、③生計の資本としての贈与を受けた者になります。

 

具体的に言うと、「結婚の際に持参金をもらった」(結婚式の費用や結納金は特別受益にはあたらないとされています)「家を建ててもらった」「マンションの頭金を出してもらった」「事業をする際に資金を出してもらった」「医科大学への入学金を出してもらった」などがこれにあたります。

 

しかし、このような親から子供への援助はわりとどこの家庭でも自然に行われていることであろうと推測すると、ほかの相続人=兄弟がとやかく言わない限りは裁判まで発展することはないかと思われます。

 

裁判では、「お兄ちゃんは私立の〇〇医科大学の入学金に2千万円も払ってもらったのに、私は国立大学だから入学金はほとんど0円よ、その分はもらうわよ」とか、

「妹は大学の卒業旅行に1か月間世界一周をさせてもらった上、お父さんのファミリーカードで300万円の指輪を買ってきた、僕は箱根の温泉だ、その分よこせ」と大きいところから始まって「奴は車を買ってもらった」「彼女はドレスを買ってもらった」等々、自分がいかに相手よりも親からもらってなかった争いになり、もう兄弟間の破滅は必至です。

 

ここで裁判所は、このような贈与が特別受益にあたるかどうかを判断するかというと、

各家庭ごとに、被相続人の資産・収入や社会的地位、その贈与があったころの社会通念的にその贈与が生活費相当額の贈与(この場合は特別受益とは言いません)以上のものであったかどうかという比較的、あいまいな状況証拠によるものと思われます。

 

このような裁判にならずに「うちのお兄さんはお医者さんなのよ、立派なのよ」「妹はかわいいから素敵な指輪が似合うんだよ」となっていただくよう祈ります。

この場合もお父さんが「長男は医科大学に金がかかったから、ほかの兄弟には預金を相続させる」、「娘は世界一周に行かせたので、息子にはこの家を継いでもらう」と遺言書を書いていれば解決すると思われます。

 

次回は、遺言書でも解決されない場合についてお話します。

 

 

林 卓也

税理士法人 SETACS

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