お金にまつわるエトセトラ

第5回「相続」裁判で争われること-①「寄与分」


石畳相続裁判

 

裁判で争われること - ①寄与分

 

相続財産の分割については、本来は法定相続分通りということになりますが、遺言状がある場合や、被相続人の生前中に、相続人の内の一部の人が被相続人に対して特に貢献したり、逆に特別に財産をもらったりしていると、そのバランスも崩れる可能性があります。

 

寄与分とは

例えば、事業を営んでいた父の仕事を長男は一緒にしていたが、次男は会社勤めをしていたため、父の仕事に関与していなかった場合に、法定相続分で分けてしまうと不公平になるので、長男に厚めに相続させようという制度です。

寄与分が認められるのは、法律的に言いますと、①被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、②被相続人の療養介護その他の方法により、③被相続人の財産の維持または増加につき特別寄与した共同相続人、に対してです。

 

という法律はありますが、あくまでも基本は法定相続分での分割なので、次男が、「いやいやそんなのは認められない、兄貴は甲斐性がないから父親の仕事を手伝っていただけだ、むしろ父から小遣いをもらっていたようなものだ」などと主張し、長男が「てめえふざけるなよ、オレがどのくらいお父さんのために働いたと思っているんだ」などとなった時は、その長男の寄与分が「あったかどうか」を裁判にゆだねることになります。

 

また、長女が「私は勤務先を辞めて、お父さんの晩年の介護をしたのだから、その分は余分に財産をもらうわよ」と言った時に、長男が「なに言ってるの、姉さんが帰ってきてから、お父さんの調子がますます悪くなったんだよ、毒でも盛ったんじゃないか」、兄弟だとここまで言えます。こうなると、お姉さんが寄与に足る介護をしたかどうかは裁判所にゆだねることになります。

 

介護は、事業と違って、お金が増えたとかの具体的に目に見えないので、裁判所の判断は難しいでしょうが、お姉さんが高給取りの仕事を投げうって、介護に徹したとかの場合は、裁判官も判断をしやすいのではないかと考えられます。

 

このように書いてきましたが、ほとんどのケースでは、「兄貴がお父さんの仕事を手伝ってきたんだから、事業の分は兄貴がもらって、僕は家のローンの足しになるくらいの貯金を少しもらえればいいよ」とか、「お姉さんの介護のおかげでお父さんの亡くなる前は幸せだったよ、この家はお姉さんが住んでくれ」ということになると思いますが、時には上記のようなことになります。

 

何回も言いますが、遺言状は大切です。

お父さんが、長男のおかげで事業は成長したんだから「事業は長男のもの」とか、長女が介護してくれたおかげで苦しい闘病生活もらくになったよ、だから「家は長女のもの」と決めればよいのですから。

 

さて、次回は裁判の続き、「特別受益」です。

 

兄弟姉妹、仲良くしましょうね。

 

 

林 卓也
税理士法人 SETACS