お金にまつわるエトセトラ

第2回 相続が争続・争族に?


相続

「相続」を「争続」にしないようにしたい。

 

「争続」、人ごとのような言葉ではあると思いますが、私の経験では、小さな争いを含めると、95%は「相続」は「争続」に変わっていきます。

これは相続税がかかろうとかかるまいと、親に何かしらの財産がある限りは、ほとんどの人が直面する問題です。

 

世論調査では、「相続の争いになるはずがない」40%、「相続がかかるほど財産はない」25%と、ほとんど人が「自分には関係ない問題だ」と思っていますが、「相続」が「争続」と漢字を変えて、家庭裁判所に持ち込まれるケースが年々増加してきています。

 

特に、財産5,000万円以下の調停率が75%に達しているということは、相続税がかかってもかからなくても揉めてしまうケースが増えているということです。

「争続」や「争族」と揶揄されるように、身内のお金の争いですので根は深くなります。

 

相続2 谷中菊

 

ここで「相続」が「争続」や「争族」に「なりにくいケース」と「なりやすいケース」を考えてみます。

 

「なりにくいケース」

「なりやすいケース」

① 財産が預金等のキャッシュのみ

財産が不動産でキャッシュがない

② 親が社長の会社を兄弟で継いだ

親が社長の会社を兄のみが継いだ

③ 親の自宅には親のみ居住

親の自宅に長男夫妻が同居、次男は別居

④ 遺言書を残している

遺言書を残していない

⑤ 配偶者同士が仲良し

配偶者同士の仲が悪い

 

*わかりやすいように兄弟としています。

*配偶者とは相続人の配偶者のことです。

 

①のケースは、キャッシュがあれば財産が明確で分けやすくなってきます。

被相続人になる人は、できることであれば生命保険などを活用して、キャッシュを作ってあげることが、後に残った人たちの争いを少なくすると思ってください。

 

②のケースでは、兄弟一緒に親の会社を継いで仲違いするケースもあるようですが、そうならないように次男には別会社を設立したり、兄弟の給与や株式持分を均等にしたりして、親=オーナー=経営者が子供たちの取り分を不公平にならないように考えてあげると比較的上手くいきます。

 

しかし、長男が親の会社を継いで、次男は全く違う会社のサラリーマンだと、その会社が儲かっていればいるほど、長男は評価の高い株のみ相続、次男は親の自宅、預金を相続ということになり、不公平感が募ります。

 

兄にとっては「自宅も、預金も、父と自分で作った」のだと思っているし、弟にとっては「兄貴は、親の会社で甘い汁を吸っていた」と対立します。

 

非上場会社の株式は、市場で売れるわけではないので、会社を経営するには株主として絶対に必要になるのですが、お金を生むものではないので、兄には金目のものが残らないのです。

 

③のケースでは、前回に書いたように、長男は当然、自宅相続できると思っているのですが、次男は自宅以外に財産がなければ、自宅は売却してお金にしてから分けようということになることが多々あります。

この辺は、親が自分の意思を明確にして、例えばお墓を守ってくれる方に自宅を継いで欲しいなどのサジェスチョンをしておくのも賢明な方法だと思います。

 

④のケースは、遺言書を残すか残さないは、相続人たちが大きく揉めるか揉めないかの重要な分岐点になるので、遺言書を残すという選択は子孫に禍根を残しづらくなります。

「お父さんの決めたことだから、従いましょうか」

「お母さんがそのように望むのだから、そうしましょうよ」

とまとまることが多くなりますので、心配な方は、ぜひ遺言書を残すようにしましょう。

 

遺言書は、弁護士に預けるか、公証役場で公証してもらうかが一般的ですが、気軽で費用の少なく済むのは公証人役場だと思います。

ご本人と証人2人がメモでもなんでも原案を持っていけば、公証人の方でワープロで正式文章にしてくれます。

 

⑤のケースは、兄弟同士の仲が良くても、その配偶者が口を出してくる場合には、かなりもめることが多くなってきます。

「奴の顔は一生見たくない」となるのもこのケースが多くなってきます。

 

このように見てきますと、「相続」を「争続」にしないための一番の方法は、やはり親があらかじめ自分の財産の配分を決めて、子供たちに言い渡しておき、できれば遺言書を作成するということです。

 

親御さんが、「自分の財産は自分が死んだ後に考えてくれ」「生きているうちに、お前たちは親の財産について考えるのか」ということを言うこともあるでしょう。こういう家庭は、間違いなく遺族間でもめます。

ぜひ親子での対話をしてみてください。

 

 

林 卓也

税理士法人 SETACS

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