アクティブな生活で「健康長寿」を

「健康長寿」10か条


日本は長寿において世界の先端を走っています。総務省統計局の人口推計によると、平成27年1月1日時点の60歳以上の人口は4200万人を超えています。全人口が約1億2700万人ですから、およそ3人に1人は還暦を過ぎていることになります。還暦は十干十二支がひと巡りすることからその名がついており、長寿のお祝いと知られています。60歳で長寿をお祝いすることについて、早いと思うかどうかは人によって感じ方が違うと思いますが、かつては誕生してから60年経てば長寿の達成者だったわけです。現代の日本では、多くの先進国と同様に65歳以上の人を高齢者として定義しています。この高齢者の定義を見直そうという動きが進んでいます。

先日開催された第29回日本老年学会総会合同大会において、『現在の高齢者は10~20年前に比べて5~10歳は若返っており、高齢者の社会参加が超高齢社会の活力として重要である』という趣旨の声明が発表されました。実際に、これまでに発表された研究データからは、現代の高齢者は生物学的にも心身機能的にも若返っていることが示されています。この背景には、医療の進歩や生活環境の向上、経済・社会システムの発展など様々な要因が考えられます。いずれも素晴らしいことです。個人と社会の双方が幸福を目指した結果として心身が若返り、寿命が延伸したといえます。長寿のひとが増えているわけですから、60歳まで生きても先輩たちが大勢いることになります。「還暦を迎えたから長寿者だ!」とは自慢しづらい世の中となってしまった今、高齢者の定義を見直す動きがあるのも頷けます。

現在日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えています。平均寿命が年々伸び続けるなかで、健康長寿ということばが注目されるようになりました。健康長寿とは簡単に言えば健康で長生きすることです。世の中には長生きすることを望まない人もいるかも知れませんが、健康であることを望まない人はいないと思います。誰しもが生きている限りは自分らしくいきいきと暮らすことを願っているのではないでしょうか。健康長寿の考え方はまさに自立した生活にあります。健康長寿の目指す健康とは、病気の有無ではなく、「日常生活に制限が無いこと」を指しています。

多くの病気に関連している重大な要因がひとつありますが、ご存知でしょうか。それは加齢です。長寿の人が増えるということは、それだけ病気になる人が増えるということです。長生きすれば病気の一つ二つ持っていて当たり前、病気があれば薬を三つ四つ飲んでいても当たり前です。たとえ病気があったとしても、自分らしく自立した生活ができているかどうかが健康長寿によって重要となります。

それでは健康長寿はどうすれば達成できるのでしょうか。私が所属している東京都健康長寿医療センター研究所では、都市部や農村部などでの調査結果から健康長寿の10か条を提言しています。図中の黒字のものは主に長寿に関わっており、赤字の部分は主に健康に関わっています。血清アルブミン値とは、主に栄養状態の良さを表しています。注目して頂きたいのは「足が丈夫である」、「短期の記憶力が良い」、「社会参加が活発である」という点です。高齢期になっても色々な人と関わりあいながら、活動的に動き回り、頭を使うことが健康長寿達成の鍵となっています。

「還暦を迎えたし、これからは一線を退き引退生活を過ごしたい」と思うひともいるかもしれません。高齢になり社会との関わりが希薄になることはある意味自然なことです。しかし、心身が健康なうちから自ら社会との関わりを減らすことは、衰えを加速させます。年をとっても健康だから社会で活躍できるのではなく、社会で活躍しているからこそ健康が保たれていると考えられます。年齢を重ねるほど大事なのは、病気であるかどうかではなく、アクティブに生活できているかどうかなのです。

 

RV長寿

  出典:東京都健康長寿医療センター「サクセスフルエイジングをめざして」