新型ジムニー。先代JB23オーナーはどう見たか。


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頑丈この上ないジムニーというクルマ

先代JB23に乗って気づけばもう10年近くたっている。

恐ろしく頑丈なクルマで、修理といえばタイヤを一回交換したぐらいだ。故障は一回もない。シンプルな作りで、余計なものを一切排除しているから、無駄な故障が少ないのかもしれない。

そのためかジムニーはオーナーの所有期間が長いという。確かに先々代のジムニーもよく見かける。

そんな中、新型ジムニーが発表されたので、さっそく試乗に行ってみた。

 

ハンパないヘビーディーティ感。新型ジムニー

新型ジムニーは先代のJB23と外寸がまったく同じなのだが、まるでイメージが違って見える。

先代がラインの丸味によるファット感を感じさせたのに対し、新型は直線が基本だ。

アウトドアをやっているとピンとくるのだが、ヘビーディーティ仕様の道具は角ばった形で要所にプロテクターを被せたようなデザインが多い。

新型ジムニーも最初の印象は「G-shockみたいだなぁ」であった。

直線的になった分、先代より若干小さく感じる(サイズスペックは同じ)。

先々代(1981年発売SJ30)に戻ったようでもあるという評論も聞かれるが、むしろヘビーディーティな四角い箱という感じがする。

 

インテリアも直線的、G-shock的なヘビーデューティさを意識。

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ダッシュボードのレイアウトはあまり変更がないが、先代が丸味を加えて乗用車感覚を取り入れていたのに対し、ほぼ直線に設計されており、インパネなどをボルトで止めているようなデザインも施され、「機械」感を前面に押し出している。

ドアや後部の窓まわりのトリムは鉄板むき出しで、内装を省いているのも先代と違うところか。

また先代JB23-5型(2004年)でスイッチ式になったトランスファー(4WD切り替え)がレバー式に戻された。

電子式から機械式に戻ったということか。

ヘビーデューティー感を押し出したといえばそうかもしれないが、コストダウンといえば言えなくもない。

こういった箇所は随所に見られる。

 

オフロードを意識した新装備

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新型ジムニーにはブレーキLSDトラクションコントロールというLSD(リミティッドスリップデフ)技術が搭載されている。一輪がスタックしたり雪にはまった時の空転をふせぐものだが、雪国やかなりハードなオフロードを攻めることを意識しているようだ。もっとも日常ではほとんど出番がないものでもある。

ヒルディセントコントロールというのもある。4Hまたは4Lで勾配7%以上の下り坂でブレーキが自動制御する技術なのだが、オフロードの急な下り坂でのブレーキワークを考えたものらしい。これも日常ではあまり出番がないだろう。

にもかかわらず、あえて装備しているということは、性能面からもハンパ無くハードな地形での使用を意識しているということになる。

 

時代的な側面も。

基本はこれだけオフロード走行を意識しているのであるが、衝突回避のデュアルブレーキサポートを始め、最近の乗用車に装備されている安全機能が「セーフティサポート」という形で上級車種には標準装着。スタンダード車種にもオプションで付けられる。

ジムニーのオフロードマニアでもない限り、90%以上は街乗りが中心となるので、こういった装備は時代の要請だろう。

 

試乗してみた。

正直言って、ジムニーには舗装路での走行性や乗り心地などはもともと期待していない。大径タイヤのおかげで、他の小径タイヤの軽自動車のようなカタカタ感がないが、ローリングやピッチングはサスのストロークの長さから、仕方ないものだと思っている。

だから舗装路を試乗させるのは(仕方がないのだろうが)あまり意味があるとは思えない。

舗装路ではいわゆる乗用車にはかなわない。

それより、ディーラーの駐車場に簡単なセクションを作ってトライさせるとかいうアイデアはないものなのか。

ちなみに運転視野やポジションなど、JB23と違和感なく感じられた。つまり見切りがいい。

 

オフロード走破のための「道具」を凝縮した新型ジムニー

もともとジムニーはクルマというよりオフロード走破のための「道具」という方がしっくりする。

乗用車感を加えたといわれる先代はノーマル仕様でもかなりのオフロードを走破できる性能をもっていた。

そこへヘビーデューティに徹した外観や内装とブレーキLSDなどの装備を加え、さらに「マシン」性を進化させたのが新型ジムニーだ。

こういった「道具」感覚を理解した上でなら新型ジムニーはこの上もない満足をもたらしてくれるだろう。

 

「乗用車」を期待するのならやめたほうがいい

さて、評判の方だが、ディーラーに聞くと、納車は7か月以上待ちという。大変な人気らしい。

ジムニーという車種は、雪国など生活や仕事上でオフロードを走行する必要がある人やアウトドアの趣味を持つ人。さらにオフロード走行(トライアルを含む)を楽しむ人などに一定台数売れ続けてきた。

いわゆるジムニーがなんたるかを知る人に長く支えられてきたのだ。

ところが新型ジムニーはそのヘビーデューティなスタイルから一気に人気が高まっているらしい。

たぶん今までジムニーとかオフロードとかに無縁だった人々にもヒットしているのだろう。

しかしジムニーはドライバーにいろいろ強いるクルマでもある。

まずジムニーは車高が高い分、乗り降りから少々苦労する。

サスのストロークがある分、走行時のローリング、ピッチングは覚悟しなければならない。つまりいつもゆらゆらしているのだ。

ターボエンジンの騒音は耳をつんざき(新型は少し静粛性を向上させているらしいが)、音楽など楽しむことは期待できない(私はそれでも音楽が聴きたくてスピーカーを4つにした)。

また先代のパワーウィンドウのスイッチはドア部分にあって、通常の乗用車感覚で操作できたが、新型はダッシュボードのセンターに集められている。これもコストダウンか。

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これは使いにくい。

燃費も悪い。大袈裟かもしれないが、私見ではメルセデスベンツのE350と変わらないといったら言い過ぎか(ベンツはハイオクだが)。カタログ上では先代より微かに悪くなっているようだ。いろいろ装備を積んで車重が重くなったためかもしれない。

4人乗りとは言っても後部シートに期待をしてはいけない。というか後部シートを倒さなければ荷物を載せるスペースはない。

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新型は先代に比べ後席を倒すと荷室は比較的フラットになるというが(先代はまったくフラットにならなかった)、狭いことには変わりはない。

ジムニーというのは極めて特殊なクルマなのだということを理解したうえで乗るには、これほど楽しいクルマはないが、普通に街乗りを中心とするならN-BOXあたりの方がいい。

価格も安くはない。最上級のXC4ATだと1,841,400円となる。

ヘビーデューティ感がカッコよくてジムニーに飛びつくとあとあと不満が出てくるかもしれない。

よくある見た目はヘビーデューティでも中身はごく普通なアウトドアっぽい道具ではない。見た目はG-shockみたいなヘビーデューティだが、中身は心地良さなど吹っ飛ぶヘビーディーティなのである。

かゆいところに手が届くとかドライバーは神様です、などという優しさを期待してはいけない。「道具」としては最高だが「クルマ」としての期待は捨てた方がいい。

 

先代JB23から買い替えるか。

先代JB23に乗り続け10年近くたった。さて私は新型に買い替えるか。

答えは否である。

今所有のジムニーは、走行距離がさほど伸びておらず、へたりもなく、一番へたりやすいショックアブソーバーも交換用を持っている。

故障はなく、ボディーになんらのダメージもない。

ジムニーは頑丈で長持ちなのである。

普通のクルマ好きなら長くても5年で買い替えるのかもしれないが、ジムニー乗りはクルマというより「マシン」を操作している感覚がある。

トラクターでも草刈り機でも新型が出たらその都度買い替える人はあまりいないだろう。

ジムニーもそんなものなのである。

まだまだ十分使えるものを買い替える必要はない、という感覚。

ジムニーというのはそんな感覚を持たせる不思議なクルマだ。